日本伝統鍼灸学会 広報部
「視覚障害者のための情報提供委員会」
見たり聞いたり問いかける診察(望診・聞診・問診)と合わせて、触れることでの診察(切診)
をより重視している鍼灸術ですから、そして鍼をすることにおいては何ら支障がないということで日本の視覚障害者には古くから鍼灸を含めた触診を生かした医療へ携わることができました。左の写真は自分で自分の脈を触り検脈をしているところであり、触診に視力は関係ありません。
日本鍼灸が誇る柔らかな刺鍼が容易に実現できる管を用いた「管鍼術」は、江戸時代の視覚障害者だった杉山和一(すぎやまわいち)によって発明されたものであり、五代将軍綱吉の難病を治療した功績から全国に養成所を広げ視覚障害者の職域を確立してくれました。
この大切な視覚障害者の職業を守り育てることと、鍼灸業界全体の発展の一つの形になるため「視覚障害者のための情報提供委員会」が設置されています。それぞれの研修会の枠組みを超えての集まりを持っているのはこの委員会だけであり、実技交流を開始しています。
youtube 委員長による趣旨説明 2021年08月08日
おそらくですが鍼灸という技術は、ユーラシア大陸東側のそれぞれの地域で行っていた原始的医療がお互い交流をすることで、次第により有益なものへと洗練・集約されてきたものなのでしょう。左の写真は脈により様々な全身の情報を瞬時に把握できる脈診、これが鍼灸における一番の独自診察法です。中央の写真は脈診に劣らぬ情報量が得られる腹診、右の写真は末端の触診も大切にしているということで足の触診をしている場面です。
基本的には委員会内での内部講師の形でより自由な実技交流を展開予定であり、視覚障害者を中心にしながらも初学者に伝統的な鍼灸術に触れて頂く機会を提供していきます。技術伝達は「手から手に」であり、委員会の時間はほぼ実技で運営していくつもりです。運営が視力のない状態を基本としているだけで晴眼者の参加も歓迎しますし、まだ伝統鍼灸学会に入会されていなくても無料で参加していただくつもりです。
鍼灸経絡研究絋鍼会による腰痛治療 - YouTube
2021年08月08日の本格的になった実技交流第一回は、北辰会より外部講師をお招きして一人ひとりの手を取ってもらいながら一般的な診察に加えて北辰会方式の実技も手ほどきしていただきました。左の写真はあぐらの状態にすることでよりきめ細かく背項診(はいこうしん)ができる写真、中央は診察結果から腹部へ刺鍼をされている写真、右は再び脈診をしている写真です。この日の文については著作権の関係で実技中の動画はありません。代わりに最後の挨拶を。
第1回実技交流を終えて、尾崎講師よりの言葉 - YouTube
これからの実技交流について - YouTube